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「大学案内」はどうあるべきなのか

コピーライターYです。
いきなり何を言い出すのか、こいつは…という目で見ないでください。

「大学案内」はどうあるべきか。

そんな大上段に
振りかぶったテーマに、
私ごとき一介のコピーライターが答えを出せるものでしょうか?

否、無理です。さようなら。



走り去ってしまいたい心をぐっと抑え
あえて第1回のテーマに「大学案内」を選んだのは
私自身が、このことを非常に知りたい
と切望しているからに他なりません。


大学全入時代を反映して、
各大学が受験生獲得に注ぐリソースが激増しています。

結果、「大学案内」パンフレットも比例するようにボリュームを増やし、
趣向が凝らされる一方であり、
今や「大学案内」は
確実にグラフィックツールにおける1つのカテゴリーを形成しつつあるといえるでしょう。

かくいう私も、
ここ数年いくつもの大学案内のコンペや実制作に関わっており、
その中で
「大学案内とはどうあるべきか」
という問いを繰り返してきたのです。

大学案内に期待される役割が「さらなる受験生の獲得」にあるとすれば、
そのソリューションとしての「あるべき姿」は何なのか。

つまり理想的な大学案内とは、
どのような編集企画に基づいているのか。

すみません、未だ模索中です。

その葛藤や混沌を、
ネットという俎上に載せてようというのですから、
図々しいにもほどがありますね。

しかし制作会社で働く人間として、
日々の現場における試行や思考を何らかの形で残すことが、
このブログの目的であるからして、ご勘弁あれ。

今後は私を含めた3名のクリエイターが、多様なクリエイティブワークをテーマに、結論のない垂れ流し思考を綴っていくので(って、それは私だけ?)よろしくお願いいたします。


閑話休題。


大学案内の話に戻りましょう。
大学案内とは不思議なことに、全く相反する2つの側面を持っています。

1つは「各大学ごとにアイデアを凝らした個性的でユニークなツール」であること。そしてもう1つは
「どの大学においても変わらない普遍的アプローチを内包したツール」であること。

仮に全国700校以上の大学案内を
並べてみれば(みたことはないけれど)おそらく、
「百花繚乱のごとき多種多彩なビジュアルと編集方法」が咲き揃うでしょう
が、その実「基本コンテンツはほぼ同じ」であることに気づくはずです。

基本となるコンテンツとは、「学部学科カリキュラム」「教養カリキュラム」「キャリアサポート」「キャンパスや施設紹介」「学生生活」。これらに「大学の理念」や「在学生、卒業生、教員へのインタビュー」を盛りこむことで、大学案内の骨格はほぼ完成します。

この骨組みにどのような肉付けをし、装飾を施すか…
編集センスがモノを言うわけであります。

しかしこの枠組み自体に疑問を呈することは可能なのでしょうか?

もちろん可能でしょう。

今後は、これまでにない画期的な大学案内の編集スキームが現出してくるでしょうが、
私の予想するに、そこには大きく3つのキーワードが絡んでくると思います。

1つめは「ビジョン」です。
2008年度から大学案内誌上に、
大学における「建学の理念」や「教育目的」を明文化して
盛り込むことが義務化されたそうです。

文科省からの通達らしいのですが、この意図は
「大学における教育ビジョンをもっと明確に受験生に提示せよ」
ということでしょう。
単に申し訳のようなスローガンを唱えるのではなく、
大学が求める学生像を毅然と表現する、
いわゆるアドミッション・ポリシーを編集企画全体に打ち出すことが、
他大学との差別化を実現するという意味でも、
今後は必要なことではないでしょうか。

2つめは「リアル」です。
受験生が求めているのは単に
「大学の魅力を満載したお洒落で格好いいパンフレット」ではありません。
(否、お洒落で格好いいに越したことはない、と思いますが…)

彼らが切望しているのは
「リアルな大学の雰囲気を知りたい」であり、
それは「先輩がこっそり教えてくれる忌憚のないおしゃべり」的な
情報に近いものではないでしょうか。

いわゆる口コミこそが、
大学における最も効果的なセールスプロモーションとなることは、
最近の若者の行動様式から明らかです。

自らの首を絞めるようですが、大学案内を「外部のプロフェッショナルに依頼する」という現代の風潮こそが、本来の大学案内のあるべき姿を歪めているような気がしてなりません。

例えば大学内に在学生も含めた「大学案内プロジェクト」を発足させ、
学生自身が制作に関わるというのはいかがなものでしょうか。
学生と外部のプロがコラボレーションして制作する大学案内…機会があれば、
一度、提案してみたいものです。

そして3つめは「クロスメディア」。ですが、
これはもう既に多くの大学が実践しているので、
益々進化および深化していくに違いありません。
大学案内を独立した印刷物ツールだけに位置づけることなく、
ウェブやオープンキャンパスなどといかに連動させていくかという考え方ですね。

大学案内そのものの中に、
ホームページやオープンキャンパスへ
積極的に誘導する仕掛けを盛り込んでいくプラットホーム的な
役割を持たせることができれば、その存在次元そのものを
大きくブレイクスルーさせることができる。
印刷物でありながら立体的な構造を持ったツールを、
これからは意識することが重要ではないでしょうか。

以上、書き始めたらさらに色々な疑問や懸案が止まらなくなりそうです。
たとえば
「大学案内にコンセプトは必要か?」
「大学案内は面白くあるべきか?」
「大学案内はわかりやすく平易であるべきか?」…等々。

結論を出すことが目的ではありませんが、
かくも大きなテーマを一介の制作者が語ること自体が、
そもそも無謀な試みであったんですね。ほほほ。

とまれ、第1回はここまで。最後まで読んでいただいた奇特な方には、感謝です。

<本日の注目>

ブログの筆者が「いま、これがスゴイ!」と感じるモノを勝手にセレクトして紹介します。

「ひとりでは生きられないのも芸のうち」内田樹著  文藝春秋
神戸女学院大学文学部教授の内田樹氏は、私が最もその思想に感銘する書き手の一人です。本書はご自身の人気ブログ「内田樹の研究室」からのコンピレーションですが、ブログファンの私が読んでも新鮮で「目から鱗」の連続でありました。まずタイトルの意味が素晴らしい。「一人で生きられない」というのは「あなたなしでは生きられない」という関係をできるだけ多くの人々と取り結ぶことで、結果としてコミュニケーション能力の涵養や住みやすい世の中がつくられる…という発想。自立とは誰にも頼らずに生きていくことではなく、いかに多くの「寄って立つモノ」を手に入れることができるかということなのです。(ああ20代の時にそれを知っていれば…)その他、憲法9条について、少子化や非婚時代について、働くということについて…これまで誰も言わなかった「常識」を、多角的に自在に語る、その筆力にいつもながら脱帽です。
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